９８／０２月分　グローバー社潜入記

去年あたりから、タンバリンやトライアングルでナウなヤングにばかうけ（完全に死語）なグローバー社。社長のニール・グローバー氏は、ボストンバレーの胡桃割り人形で打楽器を担当したりもしている現役のプレーヤーでもあります。そのオフィスと工場がマサチューセッツ州ウーバーンにあるとのことで、おじゃまさせて頂きました。
こちらではよくある長屋スタイルのオフィスビルの一区画、入り口に小さなオフィスがあり、その奥、公民館の小さな講堂くらいのスペースが工場でした。セールスディレクターのデイブ氏に案内してもらいました。ちょうどロスアンゼルスの展示会が終わって展示品が送り返されてきたところとのことでした。木と、コンポジット？という材質の、加工前のシェルが山積み。アメリカのドラムメーカーは全部同じところにシェル（木）の制作を頼んでいるそうな。そのシェルにカバリングをつけ、ラグ用の穴を空けたものも同じく山積み。スナッピーは通常のものがドラムセット仕様、それよりもスイッチオン・オフ時のノイズが少ないのがクラシック仕様だそうです。シェルの底面、スナッピーを取り付ける部分のみすこしへこんで削られています。取り付け用スペースですね。スナッピーは通常のコイル状のものではなく、まっすぐなもの。接地面積が大きいからより振動を拾えるんだとか。ギターの弦をはんだ付けして作っているそうで、棚には注文して届いた弦の束がどんと置いて有りました。奥には、試奏用のラディックのティンパニが４台。そのあたりでトライアングルやタンバリンも置いて有ります。トライアングルは大き目な銀のと小さめな金のやつ。どちらも音の通りがよく、にごり・余計な倍音もない。今度ためしてみたいものです。タンバリンも同様。ジングルがもすこし少なくてリズムがはっきり出るのが欲しいような気もします。ジングルはハンド・ハンマリングだそうで。スティックケースなどもあり。キーボードマレットも、毛糸を巻いたもの、ゴムのもの、など多数あり。チャイム用とんかちは、片面堅め、もう片面は普通。どら用のばちもありました。分厚い毛糸が巻かれていまして、「中は鉄芯なの？」と聞くと、いや、

ホッケーのパック

だとのこと。

「ほっけのパック」でわないので念のため

「小さいのには１コ、大きいのには２コ使ってるんだ」そうで。さすがにアイスホッケーが盛んな国だけのことはあります（感心するな＞をれ）。
修理を依頼されたらしい、古いリーディーの深胴スネアやら、ちょっと通気孔から接着剤がはみ出てしまい、もはやお店で売られることのない水子スネア(-_-; （安く売ってくれるそうで、心がかなりぐらっときましたが踏みとどまりました）やら、金属リムやらヘッドやらも無造作にたくさんおいてある。キーボードマレットにメーカー名を刻印する機械も置いてあり、町工場という雰囲気です、って町工場を訪ねてるんだっつーの。もうすぐ、シェルに自動的に穴を空けてくれる機械も導入するんだとか。隅のほうでは、ウッドブロックなどの小物類が扱われてました。
さて、ティンパニの竹ばちも作っているそうで、見せてもらいましたが...これがちょっとたけばちとは似ても似つかないシロモノ。まず、竹が太すぎ。通常の竹ばちの直径で２倍、体積は４倍以上でしょうか。かつ、長すぎ。持つと小指のあたりからはみでる。ばちというより、町角で芸をやってるおにいさんの道具ってカンジ。これで試奏させてもらいました。楽器はもう一組置いてあった、古い手巻きのバロック風ティンパニ＋なぜか本皮。けっこういい音してましたが、ばちのせいなのか腕のせいなのか、ぼこぼこいうのであまりいい印象はありません。ばちの頭のフェルトが球でなく円筒形だったのも関係してるかも。が、同時に試奏させてもらったクラシック用スネア大きさ小さ目（１２×４インチくらいか？）は、かなりよい。ｍｐくらいのロールとか、いいカンジで鳴ります。サイズのせいか余計な残響も少な目。ヘッドやスナッピーのせいもあるでしょうね。このほかに、小さめなドラムセットやマレット試奏用らしいビブラフォン、キーボードマレットのぎっしりつまった段ボール、なども置いて有りました。

（なお、写真も取らせて頂いたのですが、スキャナーで読み取って掲載できるのは数ヶ月後の予定です。スキャナー持ってないので(;_;)）